人権を「怖い」と敬遠する若者 ジャーナリスト安田浩一さんの危惧

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聞き手・中島鉄郎

 人間が持つ基本的な権利であり、何人も侵害されることがあってはならない――。「人権」について誰もが尊重し、とくに若い世代は、格差やジェンダーなどの身近な問題も含めて関心が強いとされる。その一方で、ジャーナリストの安田浩一さんは最近、取材の現場で「人権」という言葉が敬遠されたり、怖がられたり、時にはからかいの対象にされている、と感じることが増えたという。

 ――在日コリアンやアイヌ民族などへの差別やヘイトの現場を取材されています。現状をどのように思われますか。

 「差別で苦しむ人たちの実態をジャーナリストが報道するのは当たり前だし、思想信条に関係なく政治家は差別を許してはいけません。人権を守るというのは、基本中の基本なはずです。ところが最近、そうした記者や政治家を、何やら偏った考え方をする、一部の特殊な人たちであると、敬遠するような態度を感じることが増えました」

人が怒る姿は怖い

 ――「特殊な人たち」というのは?

 「差別を受ける側の立場に立…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年2月19日10時0分 投稿
    【視点】

    最近の若年層の「消極的な保守従属」傾向から見ると、『安田さんって人権方面の方ですよね?』という言葉が出てくる背景にあるのは、「怒ることは怖い」という感覚よりも、「いま我々の上にある権力は、安田さんが奉じるタイプの人権のことをキライなんですよ

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    富永京子
    (立命館大学准教授=社会運動論)
    2024年2月19日10時0分 投稿
    【視点】

    安田さんの議論と言うよりは見出しの問題ですが、ラディカルな抗議を忌避するのも反差別のために立ち上がる人を嘲笑するのも「若者」だけじゃないでしょう。”沖縄の辺野古の基地反対闘争の現場に観光名所気分で来て、ピースサインをして、馬鹿にしたように笑

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