技術立国は昔話、円安頼みにも限界 経済浮上のカギはデフレ克服

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渡辺七海 奈良部健 米谷陽一

 日本の名目GDP(国内総生産)がドイツに抜かれ、世界4位に落ちた。円安の影響があるとはいえ、バブル崩壊から続く「失われた30年」の低成長がもたらした結果でもある。米国や中国とは大差をつけられ、経済大国の地位は弱まるばかりだ。

 名だたる企業が技術の粋を披露する世界最大級の見本市「CES」。1月、米ラスベガスのメイン会場で注目をさらったのは、画面が透けて背景がみえる77インチの「透明有機ELテレビ」だった。

 発表したのは韓国のLG電子。有機ELでは世界首位のシェアを誇る。かつて日本企業が液晶と並ぶ薄型パネルとして量産化を試みたが、挫折した技術だ。会場では、ハイセンスやTCL集団などの中国企業が巨大な液晶テレビを展示。日本企業もブースを構えて最新のテレビをPRしたが、存在感はかすむ。

 高度経済成長の勢いに乗った日本は、1968年に西ドイツ(当時)を国民総生産(GNP)で上回り、世界2位の経済大国となった。なかでもテレビは80年代に世界市場の3~4割を握ったとされる「メイド・イン・ジャパン」の象徴だった。

 それがいまや、家電は外貨の稼ぎ手ではなく、海外から買い付けるものになった。その光景は、テレビにかわって家電の「主役」に躍り出たスマートフォンにも重なる。

 「ワンセグ」や「iモード」…

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    佐倉統
    (実践女子大学教授=科学技術社会論)
    2024年2月17日17時52分 投稿
    【視点】

    先日エアコンが壊れたので買い替えようと某メーカーのホームページを見たのだが、あまりに種類が多すぎて、どれを選んだらいいのかわからない。目を皿のようにして仕様の細かい数字まで見比べたが、性能もほとんど同じ。ごくわずかな機能(それもなんの役に立

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