折々のことば3000回 鷲田清一と山根基世が共鳴する「言葉の力」

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 哲学者の鷲田清一さんが古今東西の言葉を届ける1面のコラム「折々のことば」が16日、連載3000回を迎えた。記念のトークイベントを1月27日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社で開催。アナウンサーの山根基世さんをゲストに迎え、言葉の力をテーマに語りあった。(司会は朝日新聞文化部記者の藤生京子、写真は滝沢美穂子)

鷲田さん「この欄を一種の広場、共和国みたいに」

 ――2022年に、「暮しの手帖」誌から山根さんの言葉を紹介されましたね。

 鷲田 いつも、探すというより言葉の方から飛び込んでくる。「私の言う民主主義は……台所に転がっているような民主主義なの」と目に入って、面白い表現だなと。

 山根 私のさりげない言葉まで拾い上げていただいて。片隅の言葉まで目配りしているのがこの欄の魅力ですね。

 ――連載初回は詩人の大岡信さんの「涯(はて)は涯ない」という言葉でした。その後はコメディアンのたこ八郎さん、俳人の松尾芭蕉フランスの詩人のランボーと続きます。

 山根 あえて(時代やジャンルを)バラバラに?

 鷲田 言葉って誰か特定の人のものじゃなくて、皆がそれぞれの思いで発しているものだから。台所ならぬ、紙面に転がっている民主主義。この欄を一種の広場、共和国みたいにしたかったんです。

阪神・淡路大震災をきっかけに「聴くことの力」を意識したという鷲田さん。後半では、哲学のあり方にも疑問をもった鷲田さんが、言葉の力をどのように考えているのか、山根さんと語り合います。

 ――市井の方々の言葉も登場するのは、ご専門である臨床哲学にも重なりますか。

 鷲田 阪神・淡路大震災をき…

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