石川県珠洲市で400年以上続く伝統的な「揚げ浜式製塩」。この製法を受け継ぐ製塩所のうちの1社が2月、塩づくりを再開した。能登半島地震で大きな被害を受けたが、オンラインの販売サイトには昨年1年間分を上回る注文が届いているといい、「応援しようって思ってくれている人がいるなら、良い物を届けたい」と奮起している。
珠洲市の北側に位置する大谷地区。海岸に沿って立ち並ぶ複数の製塩所は建物が傾いたり、海水の保管タンクが倒れたりと甚大な被害を受け、震災以降は軒並み休業している。
そんな状況のなか、1軒の製塩所の煙突から2月上旬、もくもくと煙があがった。作業場の中では「珠洲製塩」の社長の山岸順一さん(87)が1人で、大きな釜を煮詰める作業を続けていた。
揚げ浜式は、海水から手間暇…
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- 矢田文
- 科学みらい部|原子力・災害担当
- 専門・関心分野
- いきもの、環境問題、沖縄、依存症