第22回「ですの!」邪神ちゃんと自由な会話 AIと友達になる時、人の心は
AI(人工知能)と友達になる――。
人間が話すような自然な文章を生成できるChatGPT(チャットGPT)などの進歩で、そんな日が近づいてきた。AIとどう関係を結べばいいのか。AIに向けられる悪意やAIが起こす事故にどう向き合えばいいか。「愛護団体」や「法人格を持たせるか」といった議論が始まっている。
「邪神ちゃん、今日は元気?」
「元気ですの!」
1月中旬、東京都内で開かれたNTTドコモの技術展で、来場者が人気コミック・アニメ「邪神ちゃんドロップキック」のキャラクターと、画面越しの会話を楽しんでいた。
「邪神ちゃんロイドN」と名付けられた3Dモデルに話しかけると、音声認識AIで質問を読み込んだ対話型AIが、「まるで邪神ちゃんが言いそうなせりふ」を生成。アニメの音源で学習した音声合成AIを使って、せりふをしゃべる。
事前に決まった問答ではなくアドリブで言葉を紡ぎ、キャラを再現したAIと自由に会話ができるようになった形だ。
邪神ちゃんのせりふの学習には、原作に加えて、作品のファンも参加。よりふさわしいせりふをファンが評価して再現度を上げたという。
「一番嫌いなものは何ですか?」と、答えにくそうな質問を記者がすると、邪神ちゃんロイドNは「蛙(かえる)ですの! 絶対に近づかないでくださいよ、この野郎…」と、かえる嫌いと毒舌という設定を踏まえた答えが、数秒後に返ってきた。
邪神ちゃんロイドNは、早ければ3月までにドコモが手がけるメタバース「MetaMe(メタミー)」に登場する。
自律したAIと会話できるシステムを、ドコモは「人間とAIは親友になれるのか」というテーマを掲げて開発しているという。
同社の片岡敬志郎さんは「今後、AIが近寄って話しかけてくれたり、友達のようになったAIと音楽ライブに行ったりする共通体験ができるようになります」と話す。
AIやロボットに向ける心「人間と大きな差ない」
ペットロボットやレストランの配膳ロボが身近になり、2022年にはチャットGPTが登場。生成AIによってロボットとも、言葉を通してコミュニケーションを取る未来が近づく。
AIやロボットに接するとき、人間の心はどんな動きをするのか。
「これから悲惨な映像が流れ…