インドネシア大統領選、国防相が勝利宣言 出馬3回で支持増えたわけ

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ジャカルタ=半田尚子 石原孝
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 14日に投開票されたインドネシア大統領選は、最有力候補の国防相のプラボウォ氏(72)が勝利宣言をした。国民的人気の高い現職のジョコ大統領の支持層を取り込み、イメージ戦略を「かわいい」に一新して若い世代の支持を広げた。

 有力シンクタンク「CSISインドネシア」のサンプル調査では、集計率88・95%時点でプラボウォ氏が58・29%の得票率だった。

 「本当は今回もジョコ氏に投票したかった」。投票日の14日、首都ジャカルタで雑貨店を営むアブドゥル・ガニさん(52)は「現政権が取り組んだインフラ整備などを続けて欲しい」と、プラボウォ氏に投票した。

 2期10年のジョコ氏の任期中、国内の風景は大きく変わった。首都ジャカルタには都市高速鉄道(MRT)が走り、昨年10月には最高時速350キロで走行する国内初の高速鉄道が完成。肌で感じる成長を支持につなげてきた。

 プラボウォ氏は今回、3選を禁じる憲法規定で出馬はせず「キングメーカー」となったジョコ氏の支持層を広く取り込んだ。副大統領候補にはジョコ氏の長男ギブラン氏(36)を選び、次男(29)が党首の政党もプラボウォ氏を支援。ジョコ氏も公には「中立」の立場を取りつつも、プラボウォ氏との会食を公開するなど、支持を印象づけるような行動を取った。

 選挙戦では、「政治的介入」で批判も受けた。規定年齢に達していなかったギブラン氏の副大統領立候補を可能にするため、憲法裁判所の判断に関与した疑いが取り沙汰された。

 引退後も影響力を維持しようとするジョコ氏の動きに対し、「政治王朝を築こうとしている」「民主主義の破壊だ」と批判の声も上がる。

 11日にはジョコ氏の不正疑惑を報じたドキュメンタリー映画「Dirty Vote(汚れた票)」がオンライン公開され、3日間で約830万回再生される反響を呼んだが、「反政府票」は伸び悩んだ。

ミレニアル、Z世代がターゲット

 プラボウォ氏のイメージ戦略の転換も、有権者に支持された。

 元国軍幹部という経歴から、過去の大統領選では「強いリーダー」像を前面に打ち出してきたが、今回は親しみやすさを重視。自身を丸っこいキャラクターにした画像を選挙ポスターに使った。クラブ風音楽に合わせてステップを踏む動画はSNSで拡散し、「かわいい」と若い世代を中心に支持を集めた。

 会社員リオ・プラタムさん(…

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