ロシア、エストニア首相を「指名手配」 旧ソ連の記念碑撤去に反発か

ウクライナ情勢

キーウ=藤原学思
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 エストニアのカラス首相が、ロシア内務省の「指名手配リスト」に入った。ロシア外務省のザハロワ報道官が13日、SNSのテレグラムに記した。AP通信によると、外国首脳の指名手配は初めて。カラス氏は同日、「むしろ私が正しいことをしていると、より良く示す証拠だ」とX(旧ツイッター)に投稿した。

 ザハロワ氏の投稿によると、指名手配容疑は「ソ連兵の記念碑を破壊した」というもの。ロシアに入国しない限り、逮捕される可能性は極めて低い。投稿では「ナチズムとファシズムから世界を解放した者の記憶に対する罪は、反応が必要になる」と主張している。

 エストニアは、ウクライナに侵攻したロシアを一貫して非難し、ウクライナを支援してきた。昨年10月末までの二国間支援額の国内総生産(GDP)比は1・3%に上り、ノルウェーリトアニアに次いで第3位となっている。

 一方、1991年になってようやく独立を回復したエストニアには、旧ソ連が第2次大戦でナチスドイツに勝利したことを強調する記念碑や追悼碑が数多く設置されており、ウクライナ侵攻後、政府主導で撤去が進んでいた。

 ロシアの「指名手配」は、こうした動きに反発したものとみられる。また、プーチン大統領国際刑事裁判所(ICC)から戦争犯罪の疑いで逮捕状を出されたことへの意趣返しと見ることもできる。

 カラス氏は13日、「ロシアの動きは驚くべきことではない」とXに投稿。「(ロシア大統領府のある)クレムリンは、この動きが私や他者を黙らせると期待しているのだろうが、その逆だ。私はウクライナへの強力な支援を続ける」と強調した。

 カラス氏はまた、母親と祖母がソ連の占領下でシベリアに抑留され、旧ソ連国家保安委員会(KGB)から逮捕状を出されたことにも言及。「ロシアの道具箱は変わらない。歴史を通じ、ロシアはいわゆる『法の執行機関』の陰に隠れ、弾圧されていると装ってきた」と指摘した。(キーウ=藤原学思

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