迎えた神様を地震で送れない春 奥能登の無形文化遺産「あえのこと」

有料記事能登半島地震

樫村伸哉
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 能登半島地震石川県の奥能登に伝わる農耕儀礼「あえのこと」にも大きな影響を与えている。毎年12月5日に田の神様を自宅に迎え、翌年2月9日に田んぼへ送る神事だが、自宅が傷つき、送りをやむなく延期した農家もある。

 「あえ」はもてなし、「こと」は祭りを意味し、姿が見えない神様を豪勢な料理と酒でもてなす。2009年に国連教育科学文化機関ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。

 穴水町の山間で雪が残る藤巻地区。森川祐征(ゆうせい)さん(84)は、約20アールの田んぼを耕し、町内で唯一、あえのことを続けてきた。神様が宿るという米俵が居間の神棚に鎮座する。見上げながらつぶやいた。「もうしばらく、神様には家におっていただくしかないわ」

 元日は同居する妻の美恵子さん(80)と息子2人のほか、金沢の親類たちも自宅を訪れ、にぎやかな正月だった。

 午後4時10分。居間のソフ…

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能登半島地震

能登半島地震

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