「南西シフト」沖縄に新たな陸自訓練場計画 地元自治会は撤回要請

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成沢解語 棚橋咲月

 防衛省が沖縄県うるま市に、陸上自衛隊の新たな訓練場を整備する計画を進めている。中国を念頭に置いた防衛力の「南西シフト」の一環だが、建設予定地は住宅街に隣接しており、騒音や事故を懸念する地元自治会が計画の白紙撤回を求めている。防衛省は11日、住民説明会を開いた。

 防衛省によると、訓練場を整備するのは約20ヘクタールのゴルフ場跡地。2024年度に購入し、25年度に調査設計を進め、26年度に着工する計画だ。新年度予算案に取得経費を盛り込み、市と県に伝えた。地権者との交渉が控えているとして、予算額は公表していない。

 訓練場では新隊員の訓練のほか、ヘリの運用も想定している。実弾射撃はしないという。木原稔防衛相は記者会見で、「周辺地域への影響を最小限にとどめるよう努める」と述べた。

 11日の説明会には住民ら約280人が参加。防衛省の担当者が計画を説明し、「米軍の訓練は想定していない」「ヘリは災害時や緊急時などを除き、飛行しない」「夜間訓練は周辺住民に周知する」などと述べて理解を求めた。

 これに対し、住民からは「計画決定後の説明はおかしい。今から住民の意見は反映されるのか」などと疑問の声が上がった。「整備させていただきたい」と繰り返す担当者に、「同じことばかり言っている。ちゃんと説明してください」と怒号も。ある住民は、陸自与那国駐屯地(沖縄県与那国町)では沿岸監視部隊が配備された後で、ミサイル部隊などの配備計画が決まったことを挙げ、「今日の説明は全く信用できない」と批判した。

 訓練場整備は、22年12月の安全保障関連3文書で、那覇市を拠点とする約2千人の第15旅団を「師団」に格上げし、増員する方針を打ち出したことがきっかけだ。防衛省幹部は「訓練の度に県外に移動を余儀なくされれば、部隊を増やした意味が薄れる。防衛戦略上、部隊の近くに訓練場を置く意義は大きい」と話す。

 ただ、周辺には住宅街が広がり、小中高校生が宿泊学習する「県立石川青少年の家」もある。ヘリの訓練に伴う騒音や事故リスクなどが懸念されるとして、地元の2自治会は1月、訓練場の建設反対を決議。合併前の旧石川市の15自治会でつくる協議会も、全会一致で反対を決議した。

 近くに住む伊波洋正さん(7…

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