海を越えた師弟の絆 地震で帰郷した実習生の決意「船長がいるから」
大滝哲彰
石川県輪島市の漁師、笹波守勝さん(58)は8日、ある人に電話をかけた。
《今何しとるん》(笹波さん)
《子どもと遊んでますよ》(男性)
《いや、元気かなと思って電話したんよ》
《私は元気ですよ。船長は元気ですか》
《船長は元気だぞ》
電話はインドネシアとつながっていた。電話の向こうで答える男性は、カタコトの日本語で受け答えしていた。
会話が続く。
《アデ、4月にまた輪島来てくれるんやろ》(笹波さん)
《行きますよ》(男性)
《そっちで楽しいのはいいけどよ、あんま酒飲むなよ》
《飲まないですよ》
《うそつけ(笑) お前飲み過ぎはだめだぞ。ほな待っとるよ》
《はい分かりました。船長、元気で》
《おう、任しとけ。アデも元気でな》
わずか30秒ほどの電話だった。でも、笹波さんにとって大切な時間だ。
「アデ」とは、技能実習生の…