腕時計シェアサービス、「終了」は突然に 預けたロレックスが転売に

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佐野楓
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 自宅の引き出しで眠っている高級腕時計を所有者から預かり、借りたい人に月額制でレンタル――。そんなシェアリングサービスが1月末に突然、終了した。現在は運営会社と連絡がつかない状態で、中には無断でフリマアプリに出品されていた腕時計も。所有者たちは不安に駆られている。

 このサービスは「トケマッチ」。運営会社「合同会社ネオリバース」(大阪市中央区)のホームページ(HP)によると、2021年1月に始まった。昨年8月には預かった腕時計が1500本に達するなど急成長を遂げたが、1月31日に法人の解散とともに、サービスの終了が発表された。

16億円分が未返却

 HPでは6カ月を目安に腕時計を返すとされたが、所有者でつくるグループがまとめたところでは、10日現在で少なくとも約730本(計16億円相当)が返却されていないという。

 高級腕時計のコレクターでもある名古屋市の時計商の男性(37)はロレックスやA・ランゲ&ゾーネ、オーデマ・ピゲなど45本(総額6千万円相当)をトケマッチ側に貸し出していた。直近では預託料として月約110万円の収益を得ていたという。

 これまで月末の振り込みに滞りはなかったが、1月31日に自身の口座を確認すると、6万円しか振り込まれていなかった。「額を間違えていないか」。トケマッチの担当者にメールを送ったものの、返事はない。

 やがて宅配便で、貸し出した45本のうち比較的安価な17本だけが届いた。残りの28本(5千万円相当)が返ってきていない。面識があった運営会社の代表者にも連絡したが、電話がつながらなかったという。

 男性は「会社のHPでは6カ月を目安とした返却をうたっていることもあり、警察に被害届を出しても受理してもらえないので動きが取れない。信頼していたのに、突然会社がこんなことになった背景が分からず不安だ」。訴訟も検討している。

父の形見が…

 「貸し出したとはいえ、大切…

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    後藤洋平
    (朝日新聞編集委員=文化、ファッション)
    2024年2月12日13時0分 投稿
    【視点】

    時計担当記者です。このサービスの利用者は、借りる時計の値段によって月々の料金が月数千円から数万円かかる、というものでした。 ロレックスなどの高級腕時計は近年、定価がかなり上昇しています。たとえば私が社会人1年目だった1999年当時、ロレック

    …続きを読む