交論 自衛隊の災害派遣
能登半島地震では、自衛隊の災害派遣の初動をめぐり「逐次投入」と批判も出ました。今回の動きをどう評価し、今後の災害派遣のあり方や課題をどう考えるのか。自衛隊災害派遣の歴史にくわしい、流通科学大学准教授の村上友章さんに聞きました。
――能登半島地震での自衛隊の出動をどう評価しますか。
「最善を尽くして活動してきたと敬意を表しています。ただ、事実としては現地に到達するのは遅く、投入の規模も少なかった。2022年に出された安全保障関連の3文書では『機動展開能力』を重視し、災害時にも『十分な規模の部隊を迅速に輸送・展開して初動対応に万全を期す』とあります。今回、それができたと言えるのか。政府や自衛隊が今後、今回の初動をどう評価し、分析していくかが重要です」
――地理的な条件などで難しさがありました。
「それは理解します。陸路が寸断される中、海路・空路で創意工夫しながら活動してきました。ただ、そうした活動を評価する声に埋没しがちな、犠牲者や被災者の声を忘れないでほしい。『一刻も早く救助に駆けつけて欲しかった』と考える人たちからすれば、不利な条件だったというのは言い訳に過ぎません」
――自身も1995年1月の阪神・淡路大震災で被災経験があります。
「当時は神戸大の学生で、住んでいた兵庫県宝塚市の実家が半壊し、ゼミの先輩や同学年の友人を亡くしました。建物の下敷きになった後、まだ息のある人は多くいました。救命の余地があったため、『なんで自衛隊はもっと早く来てくれなかったんだ』という思いが私にもありました」
空洞化していた災害派遣
――能登半島地震の初動では、具体的にどうすれば良かったのでしょうか。
「難しいところですが、例え…
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- 【視点】
今回の自衛隊の運用については、疑問や批判が上がっても、それを打ち消す「専門家」の声の方が大きいように思います。ネットでは「素人は黙ってろ」的な意見も目立ちます(例によってですが)。 ただ、軍事の世界の常識は、一般の常識とだいぶ異なることも
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