就活は「オヤオリ」「オヤカク」の時代 同伴説明会、企業も親も安心

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中村英一郎 江戸川夏樹
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 ソフトウェア販売などを行うIT企業アシスト(東京)の会議室。担当者が会社の魅力を熱弁する。

 「残業はゼロではないですが、休日はしっかり休めます。家族との時間もつくれています」

 話を聞くのは内定者17人と、その保護者26人。同社が昨年12月に初めて開いた保護者同伴の内定者向け会社説明会だ。

 説明会は約3時間半。社長あいさつに始まり、会社概要の説明、社員との対談、オフィス見学、飲食をしながらの懇親と続く。東京、大阪、名古屋で開き、内定者や家族への交通費と宿泊費は会社が補助した。

内定者が入社辞退、大手インフラ企業へ

 説明会開催のきっかけは2年前、内定者の1人が入社を辞退したことだった。林昌洋執行役員によると、本人は入社を希望したが、親が反対。内定者は、別に内定を得ていた大手インフラ企業を選んだという。

 「保護者に知ってもらう努力も必要」と林執行役員。多くの役員が「親が来るはずない」と懐疑的だったものの、内定者の45%が保護者とともに参加した。

 福岡県の大学生、佐々木柊真(しゅうま)さん(22)は両親と参加した。父で公務員の和也さん(50)は「きれいなオフィスで、社員の受け答えも立派。(内定を得た)息子を見直した」と満足そうだった。

 内定者の女性(24)の母親は「IT企業にどんな苦労があるか想像できなかったが、人を大切にしてくれることは分かった。本人が決めたこと。(入社を)正解にしてほしい」。

新卒採用で学生優位の売り手市場が続く中、内定辞退や早期離職を防ごうと、保護者向けの説明会「オヤオリ」や、企業が保護者に内定の確認をする「オヤカク」が広がっています。就活を経験した世代が親となり、積極的に子の就活に関わるようになったことなども背景にあるようです。記事後半にはオヤオリ、オヤカクの「落とし穴」について識者に聞いています。

■内定者の半分は「オヤカク」…

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    天野千尋
    (映画監督・脚本家)
    2024年2月11日11時30分 投稿
    【視点】

    オヤオリ、オヤカクの話はさておき、17.2%の親がESを添削しているという調査結果にとても驚きました。 私が就活をしていた頃(約20年前)は、親にESなんて絶対に見せたくなかったし、もし親が自己分析に口出ししてこようものなら全力で拒否したで

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年2月11日15時6分 投稿
    【視点】

    オープンキャンパスや大学主催の説明会への参加状況などから、子どもさんが通う大学との保護者さんの関わり方も変わってきたように感じている。一定の年齢を超えた自分(子ども)の将来や進路を定めるにおいて自己完結がいいか、親子一緒に取り組むのがいいと

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