棚倒れ菌床ブロック散乱 地震被災のシイタケ農家、再起へ出荷再開
能登半島地震で大きな被害にあったシイタケ農家が再起に向け、動き出している。
年間を通じてシイタケを生産販売している石川県能登町の農事組合法人「のとっこ」の栽培ハウスでは、金属パイプ製の棚が倒れ、地震で亀裂が入った床にはシイタケの菌床ブロックが散乱していた。今回の地震で8棟あるハウスのほぼ全てが被害を受け、今週ようやく出荷を再開した。
年間の出荷量は約70トン。現時点で被害の程度の見通しも立たず、同組合法人の上野誠治代表理事は「被災した実感は正直まだ湧かない。夢であってほしいなと毎日思っています」と話す。
出荷は再開したものの、通常は毎日約200キロを出荷していたが、運送業者の対応も限られることもあり、現在は50~100キロを週2日だけ。被災前の出荷量にはほど遠い。
培養中だった菌床ブロックの中にはまだ使えるものもあり、一部は室内の温度を通常より上げて成長を遅らせている。
「出荷の段取りが進められない中で、収穫できすぎても困る状況。暖房代も月100万円を超えるし、どう手をつけたらいいか分からない」と上野さんはハウス内を見渡した。
一方で、希望を感じる出来事もあった。
被災後、しばらく収穫できずに育ちすぎたシイタケを「復興しいたけ」として3キロ5千円でネットで売り出したところ、数日で完売した。
「お客さんの口に入ったのが何よりよかった。こういう状態でも受け入れて買ってくれる人がいることがありがたい」
1年間で会社が唯一休みだった元日に発生した大地震。
「ハウス内で人の被害がなかったことが救い。菌床ブロックに代えはあるけど、人に代えはいないですから」(西岡臣)
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