4連覇中だった「納豆のまち」、支出額トップ陥落 新王者は「驚き」

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力丸祥子 荒海謙一 岡本進
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 総務省家計調査で、家庭の納豆への支出額が4年連続で全国トップだった福島市。納豆料理コンテストなどで「納豆のまち」をアピールしていたが、6日に発表された家計調査では一気に9位まで後退し、5連覇を逃した。市は「4年間も1位だったことは変わらない」と、納豆にちなんだ地域起こしを、粘り強く続けていく考えだ。

 総務省が発表したのは2023年分。福島市の納豆支出量は前年より約1100円少ない5817円で、1位の盛岡市とは千円近くの差があった。例年、上位に入っている水戸市山形市などにも抜かれた。

 福島市の支出額は、6949円だった22年まで、19年からの全国トップを維持した。市は昨秋、「納豆のまち」のブランディングに乗り出し、市内33の飲食店が参加する「納豆料理コンテスト」を企画。昨年10月から今年1月末までの人気投票では市内外から792票が集まり、グランプリが決まる最終審査は今月23日に控えていた。

 市の担当者は「全国一になれなかったのは残念だが、コンテストで生まれた納豆料理を地域振興につなげたい」と話す。「納豆チーズ舞茸(まいたけ)パニーニ」や「カツオとアボカド納豆ミルフィーユ」など独創的料理でコンテストに参加した「炉端酒家たすいち」などを営む浦本剛徳さんは「お客さんの反応は悪くなかった。取り組みを強化し始めた中で、1位じゃなくなるのはタイミングが悪いね」と苦笑い。

 一方、1位になった盛岡市の担当者は「納豆の消費増について特に取り組みをしておらず、うれしさより驚き。何が起きたのか、分析することも検討したい」と冷静だった。

 そもそも、なぜ福島市の納豆支出額が多いのかは納豆業界でも3大不思議の一つだったという。全国納豆協同組合連合会は、要因として多世代型の家族構成や米どころであることなどがあるのでは、とみていた。

 9位に落ち込んだ原因を、コロナ禍が落ち着いて外食の機会が増えたことに加え、物価高で家計が苦しいなか大手スーパーが比較的安い価格で販売したことなどの影響を指摘した。

 同連合会の広報担当者は、福島市民の生活には「納豆を食べる文化が溶け込んでいる」とし、「1位返り咲きの可能性は十分にある」と福島市にエールを送った。

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