動かない原発、増える「ペーパー運転員」 3~5割が実地経験なし
佐藤常敬
東京電力福島第一原発事故後、原発が動いていない電力7社で実地経験のない「ペーパー運転員」が増え続けている。朝日新聞が取材したところ、全運転員の3~5割に上った。各社は早期の原発再稼働をめざしているが、運転員の習熟が進まないまま古い原発を動かすことのリスクを専門家は指摘する。
原子力規制委員会は福島の事故後、自然災害への備えの強化や過酷事故対策を義務づけた新規制基準を設けた。電力各社はこれまでに16原発27基の審査を申請。このうち北海道、東北、東京、中部、北陸、中国の各電力と日本原子力発電の計7社は審査が長期化して1基も再稼働していない。
朝日新聞は昨年11月下旬~12月上旬、原子炉の運転やトラブル対応などを担う原発運転員について7社に取材した。その結果、入社後に一度も自社の原発で実地経験がない運転員の割合は33~58%に上った。
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泊原発の全3基が審査中の北…