「柔らかい憲法観」でいいの? 境家史郎さんが語る憲法の番人の功罪
聞き手 編集委員・塩倉裕
「憲法の番人」と呼ばれる日本の最高裁。けれど防衛政策については、違憲かどうかの憲法判断に消極的だと言われてきました。「世論と憲法」の研究や「ネオ1955年体制」の論考で知られる政治学者・境家史郎さんの目に、憲法第9条と立憲主義の今はどう映っているのでしょう。「柔らかい憲法観」でよいの?と問う境家さんに聞きました。
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自衛隊は合憲? 判断避け続けた最高裁
日本の最高裁は「憲法の番人」と呼ばれますが、実際には防衛政策という統治の根幹にかかわる部分で、違憲審査の役割に消極的でした。この姿勢は日本の立憲主義を深刻な危機に陥らせていると私は思います。
そもそも自衛隊の存在さえ、多くの憲法学者は憲法第9条に違反していると指摘してきましたが、最高裁は憲法判断を避け続けました。選挙で選ばれた政治家の決定を尊重すべきという最高裁の立場も理解できます。しかし、政府に憲法の枠を超えたフリーハンドが与えられるのでは、立憲主義は成り立ちません。
「非立憲的な」戦後日本の政治体制
非立憲的な政治が行われた場…