国内最古のコンビニチェーン、セコマの巨大物流網は1日地球2周分

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佐藤亜季 編集委員・堀篭俊材

きょう、北のコンビニで:1

 杖をついたお年寄りの女性が店内に入ってきた。「もやし買う?」。女性店員(36)が店の買い物カゴをカートにのせながら、そっと寄り添った。

 北海道東部の豊頃町にあるコンビニ「セイコーマート豊頃役場前店」。雪が積もり始めた昨年12月、客が相次ぎやってきた。

 「塩あめ、今年も出たよ」。店員は常連客が好きな物を知っている。お母さんの胸にだっこされた赤ちゃんには「めっちゃかわいい」と目を細めた。

 家庭的な雰囲気は品ぞろえも同じだ。生鮮食品や野菜、肉や魚などの冷凍食品を充実させ、大容量の調味料や漬けもの用のポリ袋も置いてある。小学生の学習帳まである。

 この店は町内唯一のスーパーが2019年に閉店した後、住民の要望を受けてオープンした。

 十勝地方の開拓の玄関口として栄えた豊頃町は農業と漁業を基幹産業とする人口約3千人の町だ。コンビニは町役場の向かい側にある。道沿いの商店街はピークには20以上の店が営業した。最後のスーパーが閉店したあとは人口900人ほどの集落で買い物できるのはここだけだ。

「生き残ってこそ地域に貢献できる」

 「何とかならんのか」

 スーパー閉店後、町には住民…

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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2024年2月6日7時51分 投稿
    【視点】

    ■我が北海道のセコマの歴史は日本一ィィィ!できんことはないイイィーーーーッ!!  思わずルドル・フォン・シュトロハイム風に叫んでしまったではないか。佐藤亜季、そして編集委員堀篭俊材による渾身のレポートである。道民ならずとも、この『プロジェ

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