言いにくかった即時停戦 ウクライナ苦戦の現実とのずれ 佐藤優さん

有料記事ウクライナ情勢

聞き手 編集委員・副島英樹

交論 戦争の語られ方

 約2年前、ロシアがウクライナに侵攻し、日本でもにわかに関心が高まったが、様々な角度から成熟した議論をかわすのは案外難しい。主権を踏みにじられたウクライナへの同情的な声が圧倒的な中、即時停戦の必要性を説く作家で元外交官の佐藤優さんに話を聞いた。

 ――開戦から2年。祖国を守るウクライナに対する支援の機運が最近は変わってきたように感じます。

 「世論や西側の対応は現実的になってきました。『ウクライナの必勝を確信する』と頑張っていた軍事専門家と称する人たちも、ウクライナの苦戦で、どのラインで戦争を終わらせるべきなのか苦慮している。でも私に言わせると当初から明白な話じゃないかと」

 ――この間、即時停戦を言いにくい雰囲気を感じていましたか。

 「言いにくいのは確かでした。でも早くやめないと、ウクライナの黒海に面した領域が全部ロシアにとられる可能性がある。米国の軍事支援が先細り、ウクライナは完全に弾切れを起こしています」

 「今秋の米大統領選でトラン…

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2024年2月6日8時27分 投稿
    【視点】

    米ロ間でもウクライナにおける停戦に関する何らかの協議が水面下で行われていると私は考えています。「朝日新聞」に掲載された記事に限定して、関連記事を引用しておきます。 <ロシアのラブロフ外相は18日、外国メディアも参加した記者会見で、ウク

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2024年2月6日6時0分 投稿
    【視点】

    即時停戦の可能性は現状ではありません。最大の理由は、プーチン大統領には侵略を止める気がないからです。昨年12月14日、プーチン氏は次のように語りました。 「平和は、我々が目的を達成したときに訪れる。目的は以前と変わっていない。ウクライナの非

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