「医学部受験を」固執した母、抗えなかった私 20年後に聞いた真意

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福井万穂
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 関西地方に住む会社員の女性(46)は数年前、滋賀県で起きたある殺人事件のニュースに目を留めた。母親から長年、医師になるよう求められた長女が、その母を殺害したという内容だった。背景に「教育虐待」があったとの指摘に、はっとした。

 「私も、それだったのかな」

 母は専業主婦、父は公務員。ずっと母から「医者になること」を期待されて育った。小学校のテストで100点以外の点数を取ると、「なんで間違ったの?」と小言を言われた。中学の定期テストの順位は学年で常に10番以内だったが、1度だけ10番台を取ると「あんた、この点数でよく帰ってこられたね」と突き放された。また、「家庭のことをよそで話すのはダメ」と友達や学校の先生に相談することを禁じられた。

望まない医学部進学を強要され、長く苦しんだ女性。最終的に選んだ進路とは。そして20年以上が経ち、当時の真意を尋ねられた母親から出た言葉は。また記事の後半では、教育虐待の「処方箋」について、専門家が語ります

「文系に良い仕事なんてあるわけない」

 そんな母に、女性は高校のとき、初めて異を唱えた。医師の責任の重さは背負えないと感じ始めていた。国語は全国模試の順位表に名前が載るほどできたが、数学が苦手だった。「医者になりたくない。文系に進みたい」。2年次の文理のクラス分けを前に、意を決して伝えた。

 だが、両親は「文系に良い仕…

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この記事を書いた人
福井万穂
西部報道センター|行政
専門・関心分野
沖縄、水俣、教育
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