米国でいま一番「熱い」仕事? 新設ラッシュの「最高AI責任者」

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イウェン・ルー/The New York Times 翻訳=城俊雄/朝日新聞

Hottest Job in Corporate America? The Executive in Charge of A.I.

 昨年9月、米国の大手医療機関「メイヨー・クリニック」のアリゾナ州支部の病院では、同病院の歴史上初めてとなる役職を設けた。その名は「最高AI責任者(chief artificial intelligence officer)」。

 フェニックスとスコッツデールに医療施設を持つアリゾナ州支部の医師たちは長年、AIを実験的に使ってはいたが、2022年に対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」がリリースされ、AI技術への世の中の関心に火がつくと、同病院はAIのさらなる活用と、そうした取り組み全体を差配する人材の発掘が必要と判断した。

 そこで幹部らは、AIに関する専門的知見を持つ放射線科医のバビック・パテル氏に白羽の矢を立てた。パテル博士はその後、超音波検査の結果に隠されたデータを発見することで、珍しい心臓病の早期診断を可能にする新しいAIモデルを試験的に導入した。

 「我々は、すべての部局、部門、そして作業グループを通して、こうしたデータやAI能力を増強、発展させようとしている」とアリゾナのメイヨー・クリニックの最高経営責任者、リチャード・グレイ博士は語った。最高AI責任者という役割が生まれた背景には、「深い専門知識を持つ調整機能は組織に資する」との判断があった。

急速なAIテクノロジーの発展によって雇用が奪われると、繰り返し語られてきました。しかし現在、米企業などには「AI担当」の肩書を付した上級幹部の設置ブームが起きているといいます。人材獲得が熱を帯びる中で、先行きについては懐疑的な見方も出ています。

 AIは雇用を奪う、と多くの…

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