朝鮮人追悼碑、群馬県が撤去開始 「強制性」記述めぐり抗議各地でも

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川村さくら 吉村駿 高木智子
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 群馬県は29日、行政代執行法に基づき、県立公園「群馬の森」(高崎市)にある朝鮮人追悼碑の撤去工事を始めた。

 午前9時40分ごろ、県の都市整備課長が碑の前で代執行の宣言文を読み上げ、工事が始まった。関係者によると、「記憶 反省 そして友好」と刻まれた追悼碑の銘板と碑文、ハトをあしらった陶板の計3枚のプレートが取り外され、県から碑を所有する「追悼碑を守る会」側へ返却されたという。守る会メンバーの一人は「プレートは追悼碑の魂。過去の歴史を学び、友好を築くための運動を続けるために大事にしたい」と話した。

 公園は「安全面への配慮」を理由に全面的に閉鎖され、撤去の様子を外から見ることはできなかった。監視カメラが設置されるなど物々しい雰囲気で、早朝から、県や工事関係と見られる車両が頻繁に出入りした。

撤去工事始まる 「追悼碑どかすなんて無駄」 

 撤去が気がかりで公園を訪れた在日3世の女性(34)は「撤去することは、過去にあった事実を記憶していかないという意思表示のようだ」と批判。別の通行人の男性も「お金をかけて追悼碑をどかすなんて無駄なこと」と話した。県庁前では、碑の撤去に抗議する訴えもあった。

 碑は、戦時中に軍需工場や鉱山などに労務動員されて亡くなった植民地支配下の朝鮮人を悼む目的で、守る会の前身団体が2004年に建立した。

 県議会が全会一致で趣旨に賛同し、県が設置場所を提供したが、追悼式で「強制連行」と発言するなど、設置条件に反する政治的な行事がされたとして、県が14年、設置を「不許可」とした。守る会がこの処分を違法だとして提訴したが、「適法」とする高裁判決が22年に最高裁で確定した。これを受け、県が碑を所有する守る会に撤去命令を出していた。(川村さくら、吉村駿、高木智子

強制連行否定する根拠もなく「凍結」

 第2次世界大戦中に国内の工…

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