広がったボランティア自粛論 支援に入った研究者が感じていること

有料記事能登半島地震

聞き手・田中聡子
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耕論災害ボランティア考」

 今回の震災では、不要不急の能登への移動自粛が呼びかけられ、SNSではボランティアが被災地に行くことを批判する声が広がりました。災害心理学が専門で、様々な被災地でボランティア活動をしてきた宮前良平さんは、「異様な広がりだった」と驚きます。話を聞きました。

 今回の震災で驚いたのは、「行かないことが支援」という言葉が生まれたことでした。これまでも寄付など「行かなくてもできる支援」はありましたが、今回はさらに進化し、ボランティアとして現地に行くこと自体が批判されました。

 これまでの災害でも、ボランティアを忌避する言説はありました。東日本大震災の際には、現地でトラブルがあった団体に対して「迷惑」という声はありましたし、私が当時通っていた大学でも「状況が分かるまでは行かない方がいい」と自粛が呼びかけられました。

 コロナ下の2020年に熊本などを襲った豪雨災害では、当時のツイッターでの発信を分析すると、「感染対策が万全のプロ以外は行くべきではない」「自己満足だ」といった発信がありました。ボランティアは「規範逸脱者」というネガティブな印象が生まれていました。ですが、数は100件程度と少なかった。

「ルールを守れ」という正しさ

 今回は、ボランティアへの自…

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    綿野恵太
    (文筆家)
    2024年1月31日11時39分 投稿
    【視点】

    ボランティア自粛論・迷惑論の異様な広がりはぼくも驚かされました。 どこからそのようなメンタリティがきたのか。地震発生から1ヶ月経ちましたが、その理由について色々考えています。 被害の状況も全く違いますし、簡単に比較はできませんが、十数年

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    増田ユリヤ
    (ジャーナリスト)
    2024年1月31日18時15分 投稿
    【視点】

    助けたいという思いと、迷惑をかけたくないという思い。災害が起こるたびに誰もが抱く感情なのではないかと思います。私自身、メディアの仕事に携わっていますが、100人、200人体制で、キャンピングカーや中継車などとともに現地入りしているスタッフた

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能登半島地震

能登半島地震

1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]