UNRWA職員、ハマス攻撃に関与か 米政府は資金拠出を一時停止

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

エルサレム=畑宗太郎 其山史晃
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 昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の複数の職員が関与した疑いが浮上し、UNRWAが26日、調査を始めると発表した。米国やカナダなど4カ国は資金拠出の一時的な停止を決定。人道危機が深刻化するパレスチナ自治区ガザ地区などでの支援にも影響する恐れがある。

 発表によると、UNRWAはイスラエル当局からの情報提供を受け、関与が疑われる職員らとの契約を解除した。米ネットメディア「アクシオス」はイスラエル高官の話として、職員らは攻撃に「積極的に関与」し、UNRWAの車両や施設を使ったとの情報をイスラエル当局が提供したと伝えた。

 UNRWAのラザリーニ事務局長は声明で、ガザ地区では200万人以上がUNRWAの支援に頼らざるをえない状況にあるとし、「国連の基本的価値観を裏切る者は、ガザ地区そして世界中で私たちが奉仕している人たちをも裏切っている」とした。

 国連のグテーレス事務総長は「テロ攻撃にUNRWAの職員が関与したという極めて深刻な疑惑について報告を受けた。この知らせにぞっとしている」との声明を出した。

 この疑惑を受け、UNRWAへの最大の資金拠出国である米国は、一時的な拠出停止の方針を表明。米国務省は声明で、12人の職員が関与した疑いがあるとしている。ブリンケン国務長官は25日、グテーレス氏に対して迅速な調査の必要性を強調したという。声明は「UNRWAは疑惑に対処し、適切な是正措置をとることが重要だ」と指摘した。

 カナダ政府の国際開発相も疑惑を「深刻に受け止めている」として、UNRWAによる調査期間中の追加的な拠出を止めたと発表した。人道状況が悪化するガザ地区への支援については「他のパートナーと協力して続ける」とした。

 さらに、イタリアとオースト…

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