性暴力でカトリック修道会を提訴の女性、実名で被害訴え

編集委員・大久保真紀

 神父からの性暴力を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかったとしてカトリック神言修道会(名古屋市)を相手取って裁判を起こした信者の女性が23日、実名を明らかにして被害を訴えた。

 女性は、東京都在住の看護師、田中時枝さん(63)。自衛隊での性暴力を訴えた元自衛官の五ノ井里奈さん(24)の姿を見て勇気づけられ、実名で語ることを決めたという。この日、東京地裁での第1回口頭弁論の前に取材に応じ、「私は悪いことは何もしていない。なぜ隠れる必要があるのか」と話した。

 田中さんは、2012年に当時通っていた長崎市内の教会で、外国人神父に対して「告解(こっかい)(ゆるしの秘跡)」で、子どものころに受けた性暴力について打ち明けた。その後、神父から霊的指導と称し、4年半にわたって性交や動画撮影などを繰り返し強要された、と訴えている。神父の居所がわからず、裁判では修道会に使用者責任があるとして、3千万円の損害賠償を求めている。

 田中さんは「実名で話すことは、性暴力を受けて傷ついても立ち上がり、生きているという私の存在を証明することになる」と語った。

 一方、カトリック神言修道会の荒田啓示事務局長は取材に「(神父)本人は加害行為を否認している。訴訟は代理人と相談しながら進めていく」と答えた。(編集委員・大久保真紀)…

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません