「金沢への足」JR七尾線が一部再開 全線での運転は2月中旬めど
能登半島地震で大きな被害を受け、運転を取りやめていた石川県のJR七尾線羽咋(はくい)―七尾(24・7キロ)が22日再開した。通勤・通学客の多い金沢―七尾間(65・9キロ)が再びつながり、利用者からは喜びの声が上がった。
運休の間はバスなどの代替輸送はなかった。午前5時3分、七尾からの始発電車は乗客1人を乗せて金沢へ出発。午前5時40分発の電車には、10人ほどの通勤、通学客らが乗った。七尾市の専門学校事務職員、山本幹雄さん(45)は「自宅で風呂が使えていないなど、まだ大変なこともあるが、少しでも日常に戻ってきていてうれしい」と喜んだ。
金沢市内の高校に通う高校3年の田中誠道(せいどう)さん(18)は「家族に途中まで車で送ってもらっていたので、(七尾線が)再開して移動が楽になって良かった。大学受験も控えているので頑張りたい」と話した。
七尾駅はホームの一部に亀裂が入ったため、立ち入り禁止のロープが張られた部分もあった。断水の影響で常設のトイレが使えず、JR西日本は駅の出入り口近くに仮設トイレを6台設置した。
JR西日本・七尾鉄道部の江下喜久夫部長は報道陣の取材に、声を詰まらせながら「レールを1本につなげることが石川県にとっての一つの復興。(全面再開に向けて)あとしばらくお待ちいただきたい」と前を見据えた。
七尾より先の和倉温泉間(5・1キロ)と、そこから海沿いに奥能登の入り口、穴水まで28キロを結ぶ第三セクター「のと鉄道」の和倉温泉―能登中島(11・2キロ)は2月中旬の再開を目指している。一方で、それより先の穴水までの16・8キロの区間は損傷が激しく、運転再開のめどは立っていない。(朝倉義統、豊島鉄博)