「ザル法」どころか大穴だらけ 政治資金規正法の甘くて緩い実態

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東郷隆 編集委員・伊藤嘉孝
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 自民党派閥の政治資金規正法違反事件は、政治資金をめぐるルールの甘さを露呈させた。政治資金パーティーに関する規定、罰則や収支報告書公開のあり方……。「ザル法」と呼ばれる制度の穴はどこにあり、どう塞げばいいのか。(東郷隆、編集委員・伊藤嘉孝)

人件費は総額のみ 「壮大な作文」

 事件を機に政治資金パーティーをめぐるルールの緩さが指摘されているが、パーティー以外でも政治資金をめぐる制度の「穴」は多い。

 政党が「政策活動費」などとして議員個人に渡す金は、議員が何に使ったのか使途を報告する必要がない。「政治資金規正法の最後のブラックボックス」とも言われる。

 2022年までの20年で、主要政党側から議員個人に支払われた額は計約426億円。8割が自民(約347億円)で、22年に最も多く受け取っていたのは自民の茂木敏充幹事長の9億7150万円だった。二階俊博氏は幹事長時代(16年8月~21年9月)に47億7千万円を受け取っていた。今回の事件で、一部の議員側が捜査に「政策活動費だから収支の報告は不要と考えていた」と釈明したこともあり、ルールの厳格化や廃止を求める声が相次いでいる。

 また議員個人側への企業・団…

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    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2024年1月21日6時47分 投稿
    【視点】

    政治資金は、選挙、ひいては政治のあり方全体を規定するものであり、また、政治活動の自由にかかわるものとして、何重もの意味で憲法問題です。実際、アメリカでは政治資金規正に関して憲法判例が積み重ねられてきました。また、日本でも、憲法学修者の間では

    …続きを読む
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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2024年1月21日14時38分 投稿
    【視点】

    この記事に書かれているだけでも、もはや「ザル」どころか「ワク」法。自分たちを取り締まる法律を自分たちがつくるからとはいえ、国民感覚からあまりにもかけ離れていることにどのくらいの議員が自覚的なのでしょう。今求められるのは、「国民に対して恥ずか

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