7トン引き合う川内大綱引を重要無形民俗文化財に 文化審が答申

野崎健太

 国の文化審議会(佐藤信会長)は19日、鹿児島県薩摩川内市の川内大綱引を重要無形民俗文化財に指定し、薩南諸島の黒糖製造技術を登録無形民俗文化財に登録するよう盛山正仁・文部科学相に答申した。答申通り指定されれば、県内の重要無形民俗文化財は12件に、登録無形民俗文化財の登録は初となる。

 400年以上の歴史があるとされる川内大綱引は秋分の日の前日に行われる。早朝から市民らが長さ365メートル、重さ7トンの綱を練り上げ、夜になると約3千人の男たちが上方と下方に分かれて綱を引き合う。相手を妨害する「押し隊」がぶつかり合うなどして攻防を繰り返すのが特徴だ。

 南九州一帯は十五夜に豊作や無病息災を願って綱引きを行う所が多いが、川内大綱引は商業地としての土地柄を背景に競技性が強い行事として伝承され、県内最大の綱引き行事となっている。綱引き行事の地域的な展開や、国内での変遷を理解する上で重要だと認められた。

 一方、種子島から与論島までの薩南諸島では、共同作業による伝統的な黒糖づくりが伝承されている。11月から翌年3月にかけて、砂糖小屋(さたごや)と呼ばれる作業場などでサトウキビを搾った汁を釜で煮詰める。昔ながらの手作業による熟練の技術伝承がみられ、薩南諸島の産業や国内の製糖技術の変遷を考える上で注目されるという…

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この記事を書いた人
野崎健太
長崎総局長
専門・関心分野
原爆・平和、1次産業