「言葉の壁」なんてなくせば良い 学校向け多言語ツール発案者の思い

有料記事フォーラム

山本知佳
[PR]

 外国ルーツの子やその家庭が直面する「言葉の壁」を、ICT(情報通信技術)を使って乗り越える試みも生まれている。

 「教員も子どもも保護者も、『言葉が分からない』という理由を真ん中において、『できないのは仕方ない』と思いこんでいた」

 外国ルーツの子どもの研究をする宇都宮大客員准教授の若林秀樹さん(61)は、これまでの外国ルーツの子への対応について、そう考えている。日本語教育のための専門的な人材の育成も必要だが、まずはICTなどを使って、正確に伝え合う環境をつくることが重要では、と訴える。「言葉のせいにするなら、技術を使って言葉が通じる世界にすればいい」

子どもの悩みは、言葉じゃなかった

 若林さんは47歳まで中学校教員を務め、外国ルーツの子のための日本語教室も12年間、担当した。これまで接してきた外国ルーツの子は数百人に上るが、その中に学校で言葉が通じないことに不満を訴える子はほとんどいなかった。それよりも、クラスに居場所がないことや、同級生らに距離を取られていることへの悩みを抱える子が多かったという。

 日本語教室の担当をしていた…

この記事は有料記事です。残り824文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年1月21日9時30分 投稿
    【視点】

    この話、志の高さは感じるのだが、外国ルーツの子供が学校や地域社会で直面する本当の壁は「文化的文脈」なのだ。ぶっちゃけ、翻訳・通訳アプリのたぐいが長足の進歩を遂げている現在も、「人力」翻訳・通訳業務の業務は思ったほど減らない。それは何故かとい

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    田中宝紀
    (NPO法人青少年自立援助センター)
    2024年1月21日13時28分 投稿
    【視点】

    ICTを使って、超えられる壁があるならすばやく超えてしまおう、という視点に共感しています。もちろんそれだけではままらないことも多数あり、学校教育のICT活用の現時点での実態を踏まえれば、まだまだ言葉の壁をICTを使ってひょいっと乗り越える、

    …続きを読む
フォーラム

フォーラム

フォーラムはみなさまの議論の広場です。その議論に記者が参加させていただき、集まった声をもとに新しいニュースを探ります。[もっと見る]