外国ルーツの子やその家庭が直面する「言葉の壁」を、ICT(情報通信技術)を使って乗り越える試みも生まれている。
「教員も子どもも保護者も、『言葉が分からない』という理由を真ん中において、『できないのは仕方ない』と思いこんでいた」
外国ルーツの子どもの研究をする宇都宮大客員准教授の若林秀樹さん(61)は、これまでの外国ルーツの子への対応について、そう考えている。日本語教育のための専門的な人材の育成も必要だが、まずはICTなどを使って、正確に伝え合う環境をつくることが重要では、と訴える。「言葉のせいにするなら、技術を使って言葉が通じる世界にすればいい」
子どもの悩みは、言葉じゃなかった
若林さんは47歳まで中学校教員を務め、外国ルーツの子のための日本語教室も12年間、担当した。これまで接してきた外国ルーツの子は数百人に上るが、その中に学校で言葉が通じないことに不満を訴える子はほとんどいなかった。それよりも、クラスに居場所がないことや、同級生らに距離を取られていることへの悩みを抱える子が多かったという。
日本語教室の担当をしていた…
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