岸田派と安倍派、解散を検討 首相「信頼回復に資するなら」
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、岸田文雄首相は18日、首相官邸で記者団の取材に応じ、自身が会長を務めてきた「宏池政策研究会」(岸田派、46人)の解散を検討していることを明らかにした。「清和政策研究会」(安倍派、98人)の幹部も安倍派の解散を検討していることを朝日新聞の取材に明かした。
東京地検特捜部は、岸田派が約3千万円の収支を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、同派の元会計責任者を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で立件する方針を固めている。
首相は同日朝、記者団の取材に岸田派の不記載を認め、「事務的なミスの積み重ねだ」と説明。夜に対応を問われると「(岸田派の)解散についても検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、そうしたことも考えなければならない」と語った。
岸田派は、政治資金規正法で規定されている「その他の政治団体」として総務省に届け出をしている。首相は「(政治団体の)届け出を取り下げることも含めて検討している」と説明。政治団体でなくなれば、政治資金パーティーを事実上開くことができなくなるため、政治改革に取り組む姿勢を示す狙いがあるとみられる。岸田派関係者によると、東京・永田町にある派閥事務所は閉鎖する方向だという。
宏池会は1957年に池田勇人元首相が創設。党内で最も古い派閥で、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一の各首相を輩出し、「保守本流」を掲げてきた。首相は2012年から岸田派会長を務めてきたが、派閥パーティー問題を受けて昨年12月に派閥を離脱した。
東京地検特捜部は、最大派閥の安倍派や、二階俊博・元幹事長が会長を務める「志帥会」(二階派、38人)によるパーティー収入の裏金化についても捜査している。首相は、岸田派以外の派閥に解散を求めるのかについては言及を避けた。
一方、安倍派幹部は朝日新聞の取材に、「今後、(安倍派の)解散も含めて検討しないといけなくなる」と語った。