いまだテレビが停波したまま 孤立集落を不安にさせたネットニュース

有料記事能登半島地震

小早川遥平

 能登半島地震ではインフラが寸断されるなどして、携帯の通信障害が起きたり、テレビ放送が見られなくなったりした。半月が経過した今も、地上波の放送が見られない地域がある。被災後の孤立時に中継局の非常電源のバッテリーが枯渇し、自家発電もできなくなったためだ。住民らはどのように情報を得ていたのか。

 石川県輪島市町野町の観光名所、曽々木海岸に面する避難所。15日に記者が訪れると、避難者がNHKの連続テレビ小説を見ていた。「数日前にNHKが衛星放送の受信機を設置してくれました。地上波はまだです」と自治会長の刀祢聡さん(67)は話す。

 帰省中の子や孫10人で過ごしていた元日、大きな揺れの後、一家で裏山に避難した。携帯電話の電波が入らず、情報は大津波警報を知らせる防災行政無線のみ。内陸に4キロ離れた集会所に移る途中、倒れた家々を見て被害の深刻さを知った。

 「誰それの家が倒れた」「どこそこの道は通れん」。集会所に集まってきた人々の声が情報の全てだった。

直後は見られたワンセグ放送

 翌日、海岸近くの市の施設に…

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    米重克洋
    (JX通信社 代表取締役)
    2024年1月20日12時9分 投稿
    【視点】

    テレビでは能登の震災に絡めてSNSのデマやフェイク云々の問題(?)が騒がれている。だが、実際振り返ってみれば、デマやフェイクで困った被災者よりも、確かな情報を届ける報道そのものにアクセスできずに困った被災者の方がはるかに多いのだろう。

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    仲村和代
    (朝日新聞社会部次長)
    2024年1月21日17時20分 投稿
    【視点】

    東日本大震災のとき、社会部のツイッターで情報を届ける取り組みに関わりました。紙面に載りきらない現地の情報や、避難中に使えそうな「知恵」、支援やボランティアの情報などに加え、デマの発信にも力を入れました。当時はまだ、災害時にSNSの発信に取り

    …続きを読む
能登半島地震

能登半島地震

1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]