能登半島地震ではインフラが寸断されるなどして、携帯の通信障害が起きたり、テレビ放送が見られなくなったりした。半月が経過した今も、地上波の放送が見られない地域がある。被災後の孤立時に中継局の非常電源のバッテリーが枯渇し、自家発電もできなくなったためだ。住民らはどのように情報を得ていたのか。
石川県輪島市町野町の観光名所、曽々木海岸に面する避難所。15日に記者が訪れると、避難者がNHKの連続テレビ小説を見ていた。「数日前にNHKが衛星放送の受信機を設置してくれました。地上波はまだです」と自治会長の刀祢聡さん(67)は話す。
帰省中の子や孫10人で過ごしていた元日、大きな揺れの後、一家で裏山に避難した。携帯電話の電波が入らず、情報は大津波警報を知らせる防災行政無線のみ。内陸に4キロ離れた集会所に移る途中、倒れた家々を見て被害の深刻さを知った。
「誰それの家が倒れた」「どこそこの道は通れん」。集会所に集まってきた人々の声が情報の全てだった。
直後は見られたワンセグ放送
翌日、海岸近くの市の施設に…