中国や朝鮮半島、東南アジアの一部など世界の一部地域にある犬肉食文化。韓国で1月9日、食用を目的とする犬の取引などを禁止する法律が成立しました。「犬食用禁止法」と呼ばれ、食用犬の飼育や販売などが全面的に違法となります。犬肉食禁止の法制化がどんな影響をもたらすのか。この食文化を長年研究する安龍根(アンヨングン)・忠清(チュンチョン)大学元教授(71)に聞きました。
――韓国の犬肉食文化はどんなものでしょうか。
朝鮮半島では、先史時代にはすでに犬肉が食べられていたことを示す跡が見つかっています。とは言っても、朝鮮半島だけではなく、この時代、犬肉は世界的に食べられていたようです。三国時代(4~7世紀)でも食べられ、特に朝鮮王朝時代(14~20世紀初頭)には多くの犬肉料理が存在しました。
(現代の)韓国で最も犬肉を食べるのは「伏日(ポンナル)」と呼ばれる夏の暑気払いの日ですね。暑い日にたんぱく質が豊富に含まれている犬肉を食べることで体力をつけるという考え方です。かつては町内の祭りに犬を1匹連れて行って、人々が酒を飲みながらゆでた犬肉を食べるようなこともありました。
私も、毎日食べているわけではありませんが、特に夏はよく食べますね。おいしいですよ。消化吸収もよく、胃もたれしないと感じます。還暦や誕生日の祝い事の際に犬肉でもてなす地域もあります。
――一方、世界では犬肉を食べなくなる国が増え、韓国の犬肉食文化は批判にさらされてきました。
1988年のソウル五輪の際…