割に合わないユーチューバー、必要な志 インプレゾンビと一線画す

メディア空間考 高津祐典

 ユーチューブの運営をしていると、どれくらい利益が出ているの?とよく聞かれる。率直に言って、広告収入だけで黒字化するのはとても難しい。

 広告単価の安いショート動画がはやり、TikTok(ティックトック)などとの競合は激しさを増すばかり。ブランド力を高めてグッズを販売するといった広告以外の収入源がもとめられるようになった。再生回数さえ増やせばいいという姿勢では生き残れない。いかに質を上げるか、何の目的でどんな動画を配信するのか。配信者の志が問われている。

 将棋界のユーチューバーの一人、A級棋士の中村太地八段は「棋士中村太地将棋はじめch」を運営している。登録者は7万6800人ほど。特殊なルールで将棋を指してみたり、対局を詳細に見返したりしていて、再生回数は2千万回を超えているけれど、やはり収入面だけみれば「割に合わない」という。

 企画や撮影には時間も手間もかかる。将棋だけやっていれば楽なのに、それでも中村八段が配信に取り組むのは、より大きな目的と危機感があるからだ。

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 「ありがたいことに将棋界は…

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