「帰りたい」 能登のインドネシア人漁業実習生 仕事できず余震続く
能登半島地震で被災したのは、地元の人や帰省していた人たちだけではない。インドネシアから来日し、イカ釣りや底引き網漁に従事するインドネシア人技能実習生たちも被災し、続く余震や見えない先行きに、不安を抱えている。
「地震こわい」「もう帰りたい」
石川県珠洲市の蛸島漁港近くに住む20人弱は、地震発生時、2004年に建てられた鉄筋2階建ての寮「パンダワ・ハウス」にいた。日頃船長らに言われているとおり、すぐに裏山に避難して全員無事だった。たき火をして寒さと恐怖に震えながら一夜を明かした。
イカ釣り漁船に乗っているリオノ・アズナンさん(26)は「インドネシアでも小さい地震は経験したことがあるが、ここにいると毎日、地震があって怖い」。インドネシアにいる両親や妻から帰ってきてほしいと言われているといい、「すぐに帰りたい」と話す。
底引き網漁船に乗っているイルファンさん(24)は「今までは給料が一番だったが、今は安全が一番」だと言う。一方、ロベルト・ジェジョンさんは「日本人は親切だし給料が高いので、金沢や富山に移ってまた漁船に乗りたい」と話す。
インドネシア人技能実習生の雇い主のひとりで同市蛸島町の漁師、白田満広さん(50)は底引き網漁でカニやハタハタ、甘エビ、カレイなどを取っていた。漁船は無事だったが、地震でインフラが壊れ、水や氷、電気、道路などが整わず出荷できないため、漁に出られないと言う。
白田さんは漁船の前で「もう何をしていいかわからない」と嘆く。
これまでインドネシア人技能実習生を計6人雇ってきたといい「みんなやさしくて素直。かわいくてしゃーない、家族みたいなので何とかしてあげたい」と話す。
石川県漁協すず支所の幹部たちは15日に集まって、インドネシア人技能実習生たちのことを含め、今後の対応を考えるという。(筋野健太)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら