仲が良いのは移民の子ばかり 地方の若者がつくる新たなカルチャー

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浅倉拓也

 「そういえばみんなブラジル人ですね」。岐阜県可児市で建設業を営む渡辺達也さん(28)に、解体やとびの仕事を一緒にしている仲間について聞くと、少し考えてそう答えた。「ぜんぜん国籍は意識してなかったんで」

 幼い時からブラジル人やフィリピン人の世帯が多い近くの集合住宅へ行き、そこの子どもらとよく遊んでいたという。理由は、ただ近所だからというだけではない。

 渡辺さんはプロをめざすほどサッカーが得意だったが、なぜか日本人の同級生からは避けられ、いじめられていたという。外国ルーツの子どもらとは楽しく遊べた。「人に合わせなくていいし、一緒にいても、それぞれ好きなことをやってる感じ」。それが居心地良かったという。

ブラジル出身の仲間がラッパーに

 中学生になると、不良っぽい先輩らと遊ぶようになったが、それでも外国ルーツの友人の方が多かった。不良仲間でも、日本人同士だと先輩と後輩の関係や理不尽なしきたりに縛られていた。暴走族を率いたこともあったが、暴力団のような大人に命令されるのもいやだった。「ブラジルの方が仲間同士のつながりは強いと思う」

 いまも仕事や趣味の音楽を通…

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    浅倉拓也
    (朝日新聞記者=移民問題)
    2024年1月14日10時38分 投稿
    【視点】

    「ここは仕事で厳しい時もあるけど、終われば友だち。上下関係もない」 ブラジル人たちと一緒に現場で働く(日本ルーツの)日本人の言葉です。日本のホワイトカラーのコミュニティーは多様性が少なく、現場系の働く人たちの方がかえって国際化が進んでいる

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