能登半島地震の被災地で、避難した人の金品を狙った犯罪や便乗商法などの被害が出ている。住民が見回りを始めた地域もある。警察も被災地をパトロールし、注意を呼びかけている。
震度6強を観測した石川県七尾市。花園紀美子さん(72)は、雨漏りを防ぐため屋根にブルーシートを設置して、業者から高額請求の被害を受けた。
避難所から自宅に帰った3日昼過ぎごろ、「神戸から来た」という若い男が家を訪ねてきた。
「他に予約もありますけど、いまなら最初にやりますよ」。雨も降るなかで、雨漏りが心配だった。20~30分ほどの作業を終えて、「12万円です」と告げられた。
高額だと感じたが、「ブルーシートも厚さで値段の高いものもある。移動費や人件費も加えたら……」と考えた。息子から年末に振り込まれた20万円をあてて支払った。
だが2日後、シートは風に吹かれてひらひらと浮いていた。「あんな簡単にはがれるはずがない」と電話で張り直しを求めたが、返事はない。
花園さんは警察や市の消費生活センターに相談。後日、業者から返金があったが、「簡単に大金を稼いで甘い蜜を吸っちゃいけない。反省してほしい」と話す。
石川県警によると、地震に絡んだ便乗商法とみられる手口の相談が10日夕までに40件あった。事前の連絡なく訪問し、ブルーシートの設置を促すケースが目立つという。
警視庁のパトカーも巡回 住民「パトカーを見れば安心」
警察も被災地のパトロールを強化している。警視庁の自動車警ら隊は11日から、赤色灯をつけたパトカーで輪島市と珠洲市を中心に巡回を始めた。
「何かお困りごとはありませんか」。輪島市では、警視庁第二自動車警ら隊の丸瀬治栄警部(52)が被災者に声をかけていた。犯罪抑止対策として赤色灯をつけ、不審な状況があれば声かけや職務質問を実施するという。
丸瀬警部は2011年の東日本大震災でも被災地支援にあたった。「真冬の寒さが続く中で、助け合いが大切。パトカーに乗って『見せる警戒』を続けたい」。被災した自宅で生活を続ける荒川康司さん(69)は「パトカーを見るだけで安心するし、抑止力になると思う」と話した。
石川県警によると10日夕ま…