「100%トランプ支持」の中産階級夫婦 極まる政治・メディア不信

有料記事混迷を歩く アメリカ大統領選2024

アイオワ州シーダーラピッズ=高野遼

連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024:アイオワ編④

 トランプ支持者といえば、どんな人物像を思い浮かべるだろうか。

 地方在住の白人男性、非大卒のブルーカラー……。そんな代表的なイメージが世論調査で示され、報道もされてきた。ただ、実際に取材を進めていくと、より複雑な実像が姿を現す。

【1回目から読む】連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024 アイオワ編

11月の大統領選に向けた共和党の候補者選びが、アイオワ州で始まりました。トランプ前大統領が根強い人気を誇るのはなぜなのか。記者がある田舎町に滞在し、有権者たちと対話を重ねた記録です。

 都市部に住んでいる高学歴の有権者であっても、熱狂的なトランプ支持者は珍しくない。そう気づかされたのは、取材拠点にしていたアイオワ州東部の田舎町を離れ、州内第2の都市シーダーラピッズに足を延ばした時のことだった。

 共和党員の女性4人のグループに話を聞かせてもらっていた際、「100%、トランプ支持だ」と断言する女性がいた。7人の息子を育て上げた母親だというデビー・メイソン(64)。カフェに迎えに来た夫のブレット(65)との帰り際にあらためて声を掛けると、夫婦ともに大のトランプ支持者なのだという。後日、自宅に招いてもらえることになった。

「4年前、本当はトランプは勝っていた」

 きれいに区画整理された住宅地に、夫婦が住む庭付き一軒家はあった。ブレットは趣味も兼ね、コンピューター関連の会社を経営している。デビーは食卓で、孫娘への毛糸の帽子を編んでいた。子どもたちは成人し、悠々自適の暮らし。2人は自分たちを「典型的な米国のミドルクラス(中産階級)」だと表現した。

 さらに友人を3人、招いてく…

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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2024年1月17日12時1分 投稿
    【視点】

    2016年にトランプ前大統領誕生の選挙取材をしたときも、テーマは「アメリカ中産階級の崩壊」でした。当時は「既存政治に失望したため、政治家ではないトランプ氏に期待する」という声がほとんどでしたが、なんとこの記事を読むと、今回は「アウトサイダー

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年1月18日0時34分 投稿
    【解説】

    トランプ支持者を学歴で見るのは適切ではない。陰謀論を信じる人は高学歴の人たち、特に「自分はわかっている」という自覚を持っている人たち。自分はわかっているのにメディアは報じていない、メディアは嘘ばかり。それは嘘をつくことで利益を得る富裕層・デ

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