「幸せの国」ブータン、若者の高失業率が課題に 議会選で政権交代

ニューデリー=石原孝
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 「幸せの国」とも称されるヒマラヤの王国ブータンで9日、国民議会(下院、定数47)選挙が実施された。選挙管理委員会が10日に公表した開票結果によると、トブゲイ元首相率いる野党の人民民主党(PDP)が30議席を獲得し、政権交代を果たした。

 人口約80万人で、日本の九州とほぼ同じ面積のブータンは、経済成長や物質的な豊かさだけではないバランスの取れた成長を目指す「国民総幸福」という方針を提唱してきた。

 ただ、世界銀行によると、15~24歳の若者の失業率は2022年に28・6%に達し、国外への出稼ぎや留学も続出するなど、経済格差が問題になっていた。主要な産業の一つの観光業も、コロナ禍で大きな打撃を受けた。

 このため、選挙戦では政党や多くの候補者が経済の立て直しを重視。トブゲイ氏は「前例のない経済的課題と大量の国外流出に直面している」と訴えてきた。

 ブータンの国民議会選は、上位2党を選ぶ予備選を経て本選がある。昨年11月に実施された予備選ではこれまで与党だった協同党が上位2党に入れず、本選に進めなかった。(ニューデリー=石原孝

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