デブリ試験取り出し「スケジュールありきではない」 東電社長が表明

編集委員・大月規義
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 東京電力の小早川智明社長は4日、福島第一原発で溶け落ちている核燃料(デブリ)の試験的な取り出し開始を「今年度後半」としていることについて、「スケジュールありきで進めてはならない」と、安全性を最優先させる考えを示した。ただ、計画の延期については否定した。

 福島第一原発で全社員向けに年頭訓示を述べた後、報道陣の取材に答えた。訓示でも小早川氏はデブリ取り出しでは「安全が何よりも優先される」と強調していた。

 東電はデブリ取り出しの開始をこれまで2度延期した後、2023年度後半と改めた。だが、昨年10月、2号機での取り出しに使うロボットアーム用の貫通口が、炉心溶融の際に溶けたと見られる構造物でふさがれていることが判明。3度目の延期の可能性も浮上した。

 小早川氏は記者団に3月末までに着手できるか確認され、「現時点では難しいということはない。(ロボットアーム以外の)複数のやり方も考え何らかの形で前に進めたい」と答えた。

 ただ、デブリは人体に極めて危険な高レベルの放射線を出すため、「もし人身災害や環境汚染があってはならない。安全優先は地元からの願いでもある」と説明。昨年、汚染水処理の配管を洗浄していた作業員が誤って高濃度の汚染廃液を浴びた問題を挙げ、「(事故につながる)コミュニケーションのロス(欠落)が怖い。そのロスを減らしていきたい」とも述べた。(編集委員・大月規義

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