第5回「分身」が落選、焼いたアイデア帳 青葉被告が失った「つっかえ棒」
《「派遣切り」が来ることが分かっていた》
青葉真司被告(45)の供述をつなぎ合わせると、栃木県内の工場を辞めたのは2008年11月ごろだったようだ。
ちょうどこの年の9月、米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)を機に、世界的な金融危機と不況に発展した「リーマン・ショック」が起きた。
青葉被告がどこまで状況を正確に把握し、予見できていたかはわからない。しかし実際に、自動車や電機メーカーなど多くの企業で、派遣や請負で働く非正規労働者を大量に削減する動きが相次いだ。
こうした「派遣切り」によって、職と住まいを同時に失った非正規労働者が全国にあふれた。複数のNPOや労働組合は、東京の日比谷公園に、生活困窮者が年を越せるようにとテント村を設けた。それがこの年の大みそかから年明け1月5日までだった。
「年越し派遣村」と呼ばれ、炊き出しや毛布を提供。非正規労働者ら約500人が集まった。
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08年はもう一つ、大きな出来事があった。
青葉被告は「なんとかしないと自分もこんな感じになってしまうのではと思った」と公判で打ち明けている。
6月に東京・秋葉原の歩行者…
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