第2回父から虐待、記念盾は「燃やせ」 中1の青葉被告は理不尽さに泣いた

有料記事

 JR浦和駅から車で15分。「越谷街道」と呼ばれる国道沿いの古い住宅地の一角に、新しい戸建てが2棟並んで立つ。ここに5年ほど前まで、4世帯のこぢんまりとした2階建てアパートがあった。青葉真司被告(45)が幼少期を過ごした場所だ。

 1978年5月16日。青葉被告は埼玉県浦和市(現・さいたま市)で、トラック運転手の父親と、専業主婦の母親との間に生まれた。

 2学年上に兄がいて、のちに妹も生まれた。

 この年、芸能界では人気グループ「キャンディーズ」が解散する一方で、サザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でメジャーデビューした。

 「家庭内暴力」「サラ金地獄」「窓際族」――。暗い話題が世の中を覆った時代でもあった。

 母親によると幼い頃の青葉被告は、「かわいらしい元気で活発な子だった」「手がかかる子ではなかった」「成績は普通」。手伝いをして、「お母さんやったよ」と得意げに報告することもあったという。

 兄とファミコンで「ドラクエ」などに興じ、アニメ「ドラゴンボール」に夢中になった。

 「三国志」をゲームで知り、吉川英治の小説を何冊も読んだ。大人になってから自作する長編小説に「諸葛亮孔明」をモデルにした軍師が登場するのは、その影響かもしれない。

 同じ頃、父親がマイクロバスを借り、軽井沢にある母親の友人の別荘に、家族5人で遊びに行ったことがある。両親が離婚する前の楽しかった思い出だったのだろう。公判で振り返る語り口は滑らかだった。どこにでもいる小学生――。この頃の青葉被告には、そんな印象を抱く。

両親の離婚、父は無職に リコーダーで何度も殴られた

 生活が大きく変わったのは被告が小3になった87年。母親がミシン販売の仕事を始め、外出がちになった頃から夫婦仲が悪くなった、と青葉被告は言う。

 父親が母親に暴力を振るって…

この記事は有料記事です。残り1834文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トク】締め切り迫る!記事が読み放題!スタンダードコース2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2024年1月23日11時15分 投稿
    【視点】

    私は8歳の弟を交通事故で亡くしました。無免許運転の19歳がハンドル操作を誤ったのです。成長した男性は今では母と町で目が合っても挨拶しないと聞きました。反省の機会がなかったのでしょう。怒りが込み上げます。 その一方で、私たち遺族に彼の生

    …続きを読む
京都アニメーション放火殺人事件

京都アニメーション放火殺人事件

2019年7月18日、京都市の京都アニメーション第1スタジオが放火され、36人が死亡しました。京都地裁は2024年、青葉真司被告に死刑判決を言い渡しました。関連ニュースをお伝えします。[もっと見る]

連載螺旋 ルポ青葉真司被告(全14回)

この連載の一覧を見る