第8回ハエの求愛歌・人が助け求める声…「叫び」の研究者たちが描く未来
さけび【叫び】さけぶこと。大声をあげること。また、その声。「核実験反対の―」
広辞苑で「叫び」を引くと、こう記載されている。
だが、叫びは単なる大声を指すだけの言葉ではない。
自身の魅力を示し求愛したり、危機を周りに訴えたり――。人や動物が叫ぶ際、様々な意味や感情が込められる。
そんな本能と深く結びつく「叫び」について、色んな分野で研究が進む。
動物や虫は求愛をする際、様々な音を使って異性にアピールをする。
その音は、自らの遺伝子の存続を賭けた「命がけの叫び」のようだ。
叫びを介して、人間と動物や虫との間で、自由に気持ちのやり取りをできる日が来るかもしれない。
そんな未来の世界の到来に、神経科学者で名古屋大学大学院の上川内あづさ教授(48)は思いをはせている。
ただの音を超える?「求愛歌」の不思議
「プッ、プッ、プッ」
オスのショウジョウバエが発する羽音が、定期的な間隔で響く。自分の存在をメスに示すこの羽音は「求愛歌」と呼ばれる。
上川内さんはショウジョウバエの求愛歌に着目した研究をしている。「聴覚」を入り口にハエの脳の仕組みの解明をめざしている。
これまでの研究でわかったことは多い。
たとえば求愛歌の間隔の差で…
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