インドへ県が派遣団 経済交流拡大めざし来月
愛媛県は来年1月、世界最大の人口14億を抱えるインドに経済交流ミッションを派遣する。県では初の試みで、中村時広知事ら県関係者のほか、経済団体、企業、金融機関などから約65人が参加。人口減少で市場も労働力も縮む県の状況で、地元企業のインド進出につなげ、人材を現地で確保する狙いがある。
2900億ドル(約41兆円)の経済規模を持つ南部のタミルナドゥ州との間で「経済協力に関する覚書」を結ぶ。同州には製造業が集積して日系企業も多いことから、県内企業の進出や技術系の人材交流に適していると判断した。南部最大の財閥と中村知事が会談してトップセールスも行う。
デリーでは、県の外国人技能実習生の受け入れ機関とインドの送り出し機関が「技能実習生受け入れに関する協定書」を結ぶ。
県はベトナムとの同様の協定を橋渡しした経験があり、約250人だった技能実習生が約3千人まで増えた。この「再現」をインドで目指したいとしている。
インドは州によって法律や言語、習慣などが異なるため、外国企業は進出のリスクを見極めるのが難しいとされる。県はこれまで東南アジアの国々を中心に経済交流を進めてきたが、インドの成長可能性と県内の経済縮小を前に、交流の拡大は不可欠と判断した。
ミッションには、少子高齢化で学生数の減少に悩む県内の大学関係者も参加し、学生の確保に道筋をつけたい考えだ。
中村知事は21日の記者会見で、「県にとって大きな挑戦だ。オール愛媛で交流の基礎をまずは作りたい。5年先、10年先の未来を見すえた布石を、今回の訪問でしっかりと打っていきたい」と語った。
県によると、県内に在住するインド人は63人で、ほとんどが飲食関係。インドからの技能実習生はゼロで、留学生も以前はいたが現時点ではいない。
交流を拡大していくためには、インド側が求める働き先や教育を受ける場所としての魅力や、英語でのコミュニケーションといった課題をどう改善していくのかも問われそうだ。(神谷毅)…