密室で進む「平和国家」の変容 パトリオットミサイルの輸出解禁

有料記事岸田政権

田嶋慶彦 松山紫乃 高橋杏璃 ワシントン=下司佳代子
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 殺傷兵器の完成品の輸出を解禁した日本。今後は米軍の在庫を補充し、「同志国」との連携を深めて対中抑止の強化を目指すことになる。その陰で、武器輸出を制限してきた平和国家の理念は薄れ、日本の国のかたちは変容しつつある。(田嶋慶彦、松山紫乃、高橋杏璃、ワシントン=下司佳代子)

間接的な紛争助長の懸念

 「日本製の武器が初めて米国に輸出される」。地対空ミサイル「パトリオット」の輸出をめぐり、自民党国防族の一人は興奮気味に語る。

 今回の改定で、他国企業の許可を得て日本で生産する「ライセンス生産品」のライセンス元国への輸出は全面的に解禁された。第1号は米国へのパトリオット輸出だ。日本政府関係者は「米国から提供要請があった」と明かす。

 背景にあるのが、米国の武器…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2023年12月24日23時58分 投稿
    【解説】

    ウクライナを支援することが「紛争の助長」であるという論調には若干疑問が残る。ロシアの武力による侵略に対して、国土を防衛することが「紛争」であり、それを「助長」することが平和だ、という考え方が、紛争開始から2年近くたった今でもまだ続いているこ

    …続きを読む