死者2万人超、絶望するガザ市民 「だから何だって言うんだ」

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

高久潤 浪間新太 エルサレム=今泉奏 ロンドン=藤原学思
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 イスラエル軍の侵攻が続くパレスチナ自治区ガザ地区で、10月7日の戦闘開始以降の死者が2万人を超えた。逃げ場のない住民たちには絶望と怒りが広がり、国際機関は危機を訴える。イスラエルを支持する欧米からも停戦や民間人被害を抑えるよう求める声が強まるなか、イスラエル軍は攻撃を続け、戦闘停止のめどは立っていない。

 エジプト境界にあるガザ最南部のラファ。多くの避難民たちが道路脇にテントをつくり、身を寄せ合う。朝日新聞の現地通信員によると、ここ数日は、かつてない大きさの空爆や砲撃の音が聞こえ、空では煙が間近に見えるようになった。

 「どこにいけばいいのか。もう攻撃は止まらないのだろう」

 北部から家族8人でラファに逃げてきた元公務員アシュラフ・バラカトさん(51)は、現地通信員の取材に答えた。爆撃音におびえる子どもたちには「そのうち、この戦争も終わるから」と伝えてきたが、死者は日に日に増えている。「本当に疲れている。子どもに笑顔を見せるのがつらい」

 野菜売りのバケル・イサさん(65)は、自宅兼店舗が空爆で破壊された。がれきになったその建物を前に「かつては空爆の音が聞こえると心臓の鼓動が速くなったが、もう慣れた。身内も亡くなった。ずっと悲しみの中にいる」と嘆いた。

 「死ぬなら、もうこの場所で死のう。逃げるのはやめよう」。最近、家族でそう話しているという。

「死者を数えるの、とうにやめた」

 ラファで家族5人と避難生活…

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