児童手当の拡充、大学「無償化」…支援金の説明は「けむに巻く」議論

有料記事少子化を考える

聞き手・高橋健次郎
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 児童手当の所得制限撤廃、多子世帯の大学授業料と入学金の「無償化」――。政権の掲げる「異次元の少子化対策」の事業費は、年3・6兆円規模となりました。ところが、政府は「実質的な負担が生じない」と繰り返すばかり。巨額の事業でも「負担ゼロ」とは夢のような話です。本当でしょうか。旧厚生省を経て内閣府で少子化対策を担った増田雅暢(まさのぶ)・東京通信大学教授に聞きました。

「無理やり膨らませた」事業規模

 ――財源の前に「異次元の少子化対策」の充実策をどう評価しますか。

 岸田文雄首相が年頭に「異次元の少子化対策」を打ち出し「予算倍増」と意気込みました。それを受けて、規模ありきで政策を拡充したイメージです。

 少子化対策は、これまでも約30年にわたって実施されてきました。子育て世帯向けの給付拡充や、保育所の待機児童ゼロにもすでに取り組んでいます。それにもかかわらず出生数は低下傾向、出生率は過去最低になっています。今回、こうした過去の政策を検証した上で議論したとは思えません。児童手当の拡充や育児休業の取得促進が出生率の向上に強い効果があるというエビデンス(根拠)もありません。

 盛り込まれた充実策は、従来…

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