共存には駆除も ハンターが「顔なじみ」のクマに感じた追い払う限界

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聞き手・古畑航希

 クマによる被害が例年になく相次いでいる。人里に出たクマの駆除をめぐり、人間社会では意見がぶつかり合う。クマと人間、共生はできるのか。知床で何百回と「追い払い」をしてきた「野生動物被害対策クリニック北海道」代表の石名坂豪さんに、これからのクマ対策を聞きました。

 ハンターとしてヒグマ対策に携わってきました。世界的にもヒグマの高密度な生息地である北海道・知床では、早くからクマと人間の「境界線」を引く努力をしてきました。

 市街地や水産加工場を電気柵で囲う。何度も市街地に侵入したり、人間の食料を食べるようになったりした問題個体のクマは、被害が大きくなる前に捕殺する――といったことです。1985年を最後に知床で死亡事故は起きていません。

 90年代からは、人への警戒心を学習させるため、ゴム弾やスプレー、DNAがとれる麻酔針などを使った「追い払い」もしてきました。13~18年に個体識別をして、いつ、どこに出没し、何度追い払ったかなどの記録をとりました。残念ながら、多くのクマは3~4年後、問題個体になって捕殺されました。

人を警戒しなくなったクマ

 3年かけて80回ほど追い払…

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この記事を書いた人
古畑航希
ネットワーク報道本部(東京)
専門・関心分野
自然環境、災害、平和