AI使った「ただ乗り」、ネット空間で広がる実情は 国が「歯止め」
デジタル空間で、報道コンテンツなどを引用し、生成AIが回答を「合成」する「フリーライド(ただ乗り)」が疑われる事例が広がっています。
こうした実情を受け、文化庁は20日、文化審議会著作権分科会の法制度小委員会で、「AIと著作権に関する考え方」の案を示しました。AI事業者に対策を促す内容で、コンテンツへの「ただ乗り」に歯止めをかける方向です。現状はどうなっているのでしょうか。
数秒で記事のように合成
「封書 値上げ」
18日、グーグルの検索窓に記者が打ち込むと、「AIによる概要を生成しますか?」と表示された。「はい」を選ぶと、数秒で文章がすらすらと書き出される。検索に生成AIを組み込んだ「SGE」と呼ばれる機能だ。
「総務省は2023年12月18日、25グラム以下の定形封書の郵便料金の上限を現行の84円から110円に改正する省令案を発表した」
一見すると引用元は表示されていないが、段落ごとの文末にある矢印をクリックすると、毎日新聞など報道機関の記事へのリンクが小さく表示される。この日、総務省が封書の郵便料金の上限額引き上げの検討を始めたことを伝えた内容だ。
生成された回答は193文字。引用元として1番目に表示された記事と比べると、3分の2近くが一致した。特に、要点をまとめた記事のリード文(1段落目)はほぼそのまま使われていた。
今年に入ってから、グーグルやマイクロソフトは生成AIと検索エンジンを組み合わせたサービスを開始。まるで記事のような文章が合成されて出るようになった。
著作権法上は?
2018年に改正された著作…