自民党の清和政策研究会(安倍派)の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑では、組織ぐるみの不正を疑わせる情報が次々と明らかになり、政権の中枢ポストである官房長官らが辞職に追い込まれました。派閥とは何だったのか、日本の政治はどうなるのか。自民党の歴史に詳しい政治学者の御厨貴・東大名誉教授に聞きました。
「リクルート事件後」との大きな違い
――長く日本の政治を見つめてきて、いまの状況に何を感じていますか。
ある種の絶望感でしょうか。30年以上かけてきた政治改革は結局、失敗だった。
今回の疑惑は(1988年に発覚した)リクルート事件に似ていると言われます。ただ、当時は政治改革という希望があった。カネのかかる政治を変えようと、政治資金規正法を改正し、中選挙区制だった衆院選に小選挙区制をとりいれた。(新党さきがけや新生党など)自民党議員たちが離党して新党を結成するダイナミズムもあった。
混乱があっても、政治の悪い構造を変えてよくしていくという期待や希望があったと思います。
――今回はどうですか?
正直に言って、いまはそうい…
- 【視点】
「カネではなく、言葉によって政治の力を取り戻さなければなりません。右肩上がりの経済が終わり、人口が減っていくなか、10年、20年先のこの国をどうするのか。そういう議論を政治がもっとすべきです。」 御厨先生のインタビュー記事中にあるこの指
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