ストレートな感動物語じゃない コーダ描くドラマ、草彅剛が主演

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文・平岡春人 写真・篠田英美

 手話に初めて触れた。指導を受ける際、口の動きや表情を指示されることもあった。ろう者などが使う「日本手話」は、手だけでなく顔の動きなども文法的な意味を持つ。

 「でも、(手話が)想像していたのと違った、という感覚はない。元々知らなかったから、そういうものだと思ってやった」。草彅剛は、そう振り返る。

 移動の新幹線内などで、手話のセリフをたたき込んだ。手話の練習については「こんなに良い役をいただいたのだから、苦労だとは思わない」。

 丸山正樹の小説が原作のNHKドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」(16、23日夜10時)で、主人公の手話通訳士、荒井尚人を演じる。

 荒井は、ろう者の両親の間に生まれたコーダ(CODA=children of deaf adult〈s〉)と呼ばれる聴者で、自分の過去と向き合いながら事件を追う。「荒井は最初、自分の殻を抜け出せない。そんな彼が変化する様子が、見ている人が次の一歩を踏み出すきっかけになれば」

 ドラマには20人近いろう者、難聴者が登場し、その役のほぼ全てを当事者が演じる。手話指導の担当者らが俳優たちの演技を支える。作品は多様な当事者のリアルに向き合い、ろう者の文化に関する解説も、うまくなじませて織り交ぜられている。

 近年、ろう者を描く作品は少…

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この記事を書いた人
平岡春人
文化部|映画担当
専門・関心分野
映画、音楽、人権